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2009/04/26

ベストセラー

ベストセラーの成り立ちかたがここ数年変化してきたなと思う

そのひとつが「本屋大賞」効果

文壇に権威づけられた賞よりも

書店員による人気投票というコンシェルジュ感覚が

エンドユーザーにも響くのか 

必ず売れる
(棚を確保しやすいという露出面での効果も大きい)

出版業界衰退著しい昨今 

売れることによって業界全体の金の回りが良くなるためにも

起爆剤として歓迎すべきことだとは思う


そこまでならば特に驚く話でもないのだが

最近知って驚いたのが 

受賞作品はほぼすべてと言っていいほど

映画化されている もしくは される予定にあるらしい

しかも配給に必ずといっていいほどテレビ局が絡む


映画業界側からすれば

ベストセラーを原作にすれば需要予測が立てやすく

スポンサーも確保しやすいというメリットがあり
(裏を返せば書き下ろし脚本映画にとって冬の時代)

テレビ局はティザーから直前プロモーションまで

あらゆる番組で主演タレントを稼働させ

視聴率アップと映画の宣伝の二毛作

ふたを開けて見ればそこそこ観客が入り

上映終了後はDVD化とテレビ放映

NHK新春特番で箭内道彦さんが

"テレビ番組自体が広告"とおっしゃっていたのを

思いだす


ここまで過剰な露出を極めるベストセラー群の中で

10年20年後版を重ねるものは

果たしてどれくらいあるのか気になる

瞬間風速的なベストセラーも必要だとは思うが

細く永く継承されてゆくものが無くては

活字文化そのものがそもそも危うくなる


問題は売る側か買う側かという

ニワトリかタマゴか?の議論は延々続くだろう

個人的には買う側に根深い問題があって

売る側は売れるものを売るほかにない気はするが
(書くと長くなるのでこの件は別の機会に)

ともかく 数多くのベストセラーが

ブックオフに行くこと無く 

ひとりでも多くの本棚に留まることを願うばかりだ


ブックオフといえば 

TSUTAYAのTポイントカードが使える

原作と映画化されたコンテンツが

同じポイントカードの上で消費されてゆくばかりでなく

最近セルに再び力を入れ始めている状況を考えると

ポイントカードによる買う側の消費性向データ確保と

新たなるベストセラー誕生には

何ら無関係と言いきれない現象が起こりうる


なまじっか「本屋大賞」がブランド化したばかりに

書店員の責任が過剰に重大になっていく気がするのは

考えすぎだろうか

もちろん 文壇以外の賞によって

活躍の場が与えられることは作家にとって良い事なのだが

結局 僕がいちばん言いたいことは

売れる=評価が高いという目線に偏り過ぎると

売れないが評価されるべき作品が

今後ますます日の目を見なくなるという危惧と

売れないが評価されるべきものが日の目を見るためには

本がたくさん売れて出版社が潤わなければ出版出来ない

という歯がゆさだ


もうひとつ 気になるベストセラー形態が

自己啓発本などで見かける

アマゾンのベストセラーにランクインして

それが書店にも飛び火して売れる

というパターン

著名人でも大手出版社でもないのに

なぜ?と仕組みが気になっていたが

どうやら

無料メルマガ購読者に情報を流し

アマゾン購入者限定キャンペーン
(無料セミナー参加など)

を行っている

というのが からくりらしい

マスメディアに広告を出すよりはよほど安上がりであるから

(本の中身はともかく)
良く出来た仕組みだなと思った

Eコマースが産声をあげた頃は

"とにかくリストをたくさん集めてメルマガを読んでもらうこと"

という"パーミション・マーケティング"→"バイラル・マーケティング"
(一言で言えば低コストで口コミして売ること)

の手法を耳が痛くなるくらいに聞いた記憶があるが

上記ベストセラーの著者は

地道にリストを集め 

読ませるメルマガのファンとして顧客を囲い込み

本が出たらアマゾン購入限定キャンペーンを張り

ランクインすることで

アマゾンをチェックした人が本の中身が気になり

本屋に立ち寄ったときに

立ち読みなり問い合わせをして

それが積み重なり次第に目立つスペースに陳列され

今度は本屋で偶然見かけた人も手にするように仕掛けた

これはあくまでも理想形だとは思うが

実際そうやって本屋で品切れを起こし

増刷が決定した具体例を先日知った


本屋で立ち読みして品定めをされてしまっては

売れないのではないかと思ったりもするが

おそらく耳触りのよい本のタイトルと

アマゾンで売れていて 

しかも(ファンが書きこんだ)レビューでの評価の高い

という効果が保険となって

背中を押され何となく買ってしまうのではないだろうか


個人的には 

それ以前にこのジャンルのニーズの高さに驚いてしまう

この手の本は大概

・1回サラリーマンの月収ほどの金額のセミナー誘導を目的とする出版社

・外車1台分くらいの教材購入を目的とする出版社

のいずれかであるのが相場だと思っていたが

最近は一般的には無名の著者が大手出版社から

本を出すケースも多いようで

よほど手堅く売れるジャンルなのだろうなと思う

もっとも

アマゾンで"この本を買った人はこういう本を・・・"

というところに 似たようなタイトルが列挙されているということは

その本1冊読んだだけでは内容が不十分ということなのか?と思ったり

某速読本の読者が本当に速読術を身に付けてしまえば

本屋でお経のようにパラパラとページをめくれば事足りて

本など買わなくて済むのでは?と思ってしまうのは

僕がひねくれているだけなのだろうか





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