包装紙
梅田にある百貨店の1Fスウィーツ・フロア
行列の長さと味覚への刺激は残念ながらほぼ正比例するらしく
食べたいものは長蛇の列に並んで買うルールに従う他ない
限定アイテムの販売開始時刻と完売の知らせが
各ショップのPOPの上で踊っている
ただなんとなく
それら限定・完売・行列といった光景が
退屈な日常の反復を消費しているように目に映ってしまい
どうしても並びたい気になれない日もある
客動線の奥に見つけ安堵した先は
長崎カステラで有名なショップだった
時流におもねらなくも それでいてお高くとまらない
包装紙のデザインとロゴが昔から好きだ
カステラの味は言うまでもない
包装紙の黄金色には
高校の修学旅行で行ったクラスメイトとの思い出
大学時代に平和公園近くで寝袋で一夜を明かした朝のすがすがしさ
一人旅で再び訪れたとき感じた
鎖国時代にオランダ・中国・朝鮮の文化を一手に引き受けた異国情緒の街並み
光と影が交差した歴史を持つ独自のキリスト教信仰を象徴する教会
カラフルなJR九州の車両
といった記憶が詰まっている
表面に施された ざらめ を噛むたび 長崎へ行きたくなった
と同時に
カステラを食べたくらいでこんな大げさにセンチメンタルな気分になる
自分の単純さに少し笑えた
それでもやはり
黄金色の包装紙に秘めたブランド力には頭が下がる思いがした
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